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薬剤師の仕事内容と職場の種類について徹底解説

薬剤師の代表的な職種には「調剤薬局」「ドラッグストア」「病院施設」「製薬会社」などがありますが、それぞれ薬を扱うという意味では共通しているものの、働く職場によって仕事内容は大きく異なります。

意外なことに薬剤師同士は自分の職場以外は、どんな仕事内容なのかを知らない人もいるようです。そこで今回は薬剤師の仕事の役割、内容、職場の種類などについて整理します。就職・転職を考えている薬剤師の方は参考にしてください。

■この記事で分かること
・薬剤師の仕事の社会的な役割
・薬剤師の本来の目的
・薬剤師になるために必要なこと
・薬剤師の主な雇用形態(正社員、パート、派遣)
・薬剤師の代表的な職場と仕事

〈目次〉

薬剤師の仕事の役割
薬剤師ってどんな仕事をするの?
薬剤師の仕事のやりがい
薬剤師になるには何が必要?
薬剤師の仕事と雇用形態
正社員
パート
派遣
代表的な薬剤師の職場とその仕事とは
調剤薬局の薬剤師
ドラッグストアの薬剤師
病院薬剤師
診療所の薬剤師
在宅医療の薬剤師
製薬会社の薬剤師
製薬卸会社の薬剤師
公務員の薬剤師
まとめ

 

■薬剤師の仕事の役割

薬剤師の仕事とその役割とは何でしょうか?薬剤師法第1条によると「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康を確保するものとする。」と定義されています。

つまり、薬剤師の仕事の目的は、自身が携わった薬に対して責任を持ち、医療チームの一員として、患者の健康増進に貢献することにあります。

 

■薬剤師ってどんな仕事をするの?

厚生労働省の調べによると、2016年の全国届出薬剤師数は約30万人で、そのうちの約76%が薬局薬剤師、医療施設薬剤師として活躍しています。このように薬剤師の勤務先は、主に「調剤薬局」「ドラッグストア」「病院」の3つに大別されます。

これら3つの施設の薬剤師の仕事は、主に処方箋にもとづいた調剤業務が中心になりますが、この表のように職場によっては特有の業務もあります。

勤務先 調剤薬局 ドラッグストア 病院
主な業務内容 • 処方箋調剤
• 服薬指導
• 薬品発注・管理
• 管理薬剤師の場合は、従業員の管理
• パートナー医師とのミーティング
• 在宅医療実施の場合はその関連業務
• 処方箋調剤
• 服薬指導
• 薬品発注・管理
• 一般大衆薬販売
• 日用品・雑貨品の管理・販売など
 • 処方箋調剤
• 服薬指導
• 薬品発注・管理
• 点滴・注射剤調整・管理
• 病棟患者の服薬状況管理
• 医療スタッフカンファレンスへの参加など

 

■薬剤師の仕事のやりがい

薬剤師の仕事のやりがいは、患者に対して的確に服薬指導をおこない症状が改善されて、その仕事に対して感謝されることではないでしょうか。薬の専門家として、患者と医師(医療関係者)とのかけ橋的な役割を果たして社会貢献できることは喜びです。

医薬品を通して患者に独自にアドバイス・サポートすることもできます。例えば、患者が医師に聞くことができなかった悩みや疑問は、薬剤師に相談することで、処方薬の変更・改善につながることもあります。

また、患者の服薬状況・生活習慣などについて、薬剤師が注意深く情報取集・管理することにより、適切な処方薬を医師に提案することもできます。このように、薬剤師ならではの薬の知識・経験により質の高いチーム医療を実現することができます。

新しい疾患の発見、新薬の発明など、医療・医薬品業界は日々進化しています。変化する医薬業界の中で、薬について学び、それを患者の「健康・いのちを守る」「社会貢献できる」ことは仕事のやりがいと言えるでしょう。

 

■薬剤師になるには何が必要?

薬剤師になるためには、まずは国立・公立・私立の6年制薬学部に入学して卒業することが前提となります。薬剤師国家試験の受験資格は、薬剤師法によって「6年制薬学課程」を修了したものとされています。

その上で、毎年1回実施される「薬剤師国家試験に合格する」→「試験合格後に厚生労働省へ申請する」ことにより名簿に登録されて免許を取得できます。

薬剤師は、調剤薬局・ドラッグストア・医療施設へ勤務する人が大半ですが、中には大学での研究・教育者職、医薬品関連企業における研究・開発職、保健・衛生などの行政機関勤務、といように、さまざまな職場で活躍することができます。

【参考】: 厚生労働省薬剤師国家試験

 

■薬剤師の仕事と雇用形態

薬剤師は、国家資格を有する人だけが就くことができる仕事であり、一般の求職者と競合になることはありません。求人数も多いため、自分のライフスタイルに合わせた働き方ができる仕事だと言われています。

薬局薬剤師だけの雇用形態を見ると「正社員」「パート」「派遣」と大きく3つがありますが、どれも求人数は多く売り手市場が続いているため、自分に合う職場を選ぶことができます。

それぞれの雇用形態にはメリット・デメリットがありますのでチェックしていきましょう。

 

●正社員

正社員は、会社と雇用契約を結んで、会社の就業規則に則って労働提供をする就業形態です。正社員雇用は、月給制、ボーナス、昇給がある会社もあり、福利厚生を充実させている会社もあります。そのため、パート・派遣と比較しても収入・待遇面は良くなる傾向があります。継続雇用が約束されているため、生活も安定します。

一方で、組織の一員としての責任が重くなり、会社の決定事項にも従わなくてはなりません。仕事内容も社歴・役職に応じてやるべき業務は増えます。「異動・転勤を断ることができない」「責任ある仕事を任されることがある」という組織人としての自己犠牲も必要になり、社命を遂行することが求められます。

会社組織の中でのキャリアプランを描いている薬剤師ならば、正社員雇用、同じ会社に長期間勤務することは必須です。特に企業規模が大きくなるとこの傾向はより強くなります。

 

●パート

パートは薬局(会社)と直接労働契約を結んで働く雇用形態ですが、正社員との大きな違いは、短時間の勤務が可能なことです。実際の仕事内容は、薬局勤務の薬剤師の場合には、正社員とさほど変わりはありません。
パート薬剤師の時給相場は約2000円程度と高時給なのが特徴で、これは他のパート職と比較しても約2倍近くになります。パートの短時間勤務でも、一定の収入を得ることができる点は大きなメリットです。

正社員と比べたデメリットには「ボーナスが無い」「福利厚生をフルで受けられない」などの待遇面が挙げられます。また、会社の事情で職員を減らす場合には、真っ先にパート職員が候補になるため「職場内での安定性」の面での不安が考えられます。

しかしながら、薬剤師不足は当面は続くと見られますので、パートの求人数が減ることはありません。転職先探しに困ることは無いでしょう。結婚・出産を機に、薬剤師の職を離れた女性などは、薬剤師免許を無駄にすることなく、子育てと仕事を両立できますので、パート勤務はメリットが多い雇用形態と言えます。

 

●派遣

派遣薬剤師は、薬局を運営する会社や病院との直接契約ではなく、派遣会社へ登録の上、派遣会社の社員として雇用されます。あらかじめ自身の希望(職種、勤務できる曜日・時間、エリアなど)を伝えて、条件に合う勤務先を派遣会社に紹介してもらう仕組みです。

派遣の大きなメリットは、時給相場がパートよりも高いことです。時給3000円以上の求人案件は少なくありません。フルタイムで働けば正社員以上の収入を得られる求人も中にはあります。

ただし、パート・派遣勤務者の多くは、午前中~午後2時頃の勤務希望に集中する傾向があるため、この時間帯の時給はそれほど高く設定しない職場もあります。逆に、夕方から閉店までの時間帯は薬剤師が不足するため時給が高くなります。勤務時間ごとの時給額に関しては、事前に派遣会社に確認が必要です。

派遣社員は、同じ職場に就労できる期間は原則、3年とされていますが、実際には3年未満で契約終了となるケースは少なくありません。そのため「気に入った職場で長期間働けない」「職場を転々としなくてはならない」など、派遣特有のデメリットはあります。

 

■代表的な薬剤師の職場とその仕事とは

薬剤師の仕事は、何らかの形で薬とかかわりを持つ業務です。その職種は、薬局や医療機関での調剤業務をはじめ、製薬企業、卸・流通業者、販売業、行政機関における許認可・監視指導業務など多岐に渡ります。ここではその主な職種についてみていきましょう。

 

●調剤薬局の薬剤師

調剤薬局薬剤師の基本業務は「処方薬の調剤業務」「患者への服薬指導」が中心となります。薬剤師は、患者が持参する処方せん内容を確認した上で正しい薬を準備します。

患者に薬を渡す際には「薬の正しい服用の仕方」「服薬する際の注意事項」「副作用などの注意事項」などの服薬指導をおこないます。万一、薬の飲み合わせなどに問題があると判断された場合には、処方医師への問い合わせ・確認をおこなうこともあります(疑義照会)。

患者の多くは、かかりつけ医や自宅近くの薬局で薬を受け取る傾向がありますので、患者とのコミュニケーションにより信頼関係を築き上げることも大切な仕事です。

大病院の門前などを除いて、調剤薬局の多くは少人数で運営します。少ない人数の職場ゆえに人間関係を円滑にするのも大切な仕事です。仕事量、休憩など職場の先輩・同僚への配慮を考えて業務に取り組むことが求められます。

 

●ドラッグストアの薬剤師

ドラッグストア薬剤師の主な業務は、調剤薬局の基本業務とともにOTC(一般用医薬品)販売、生活雑貨の販売業務です。「服薬指導」「レジ打ち」「発注(在庫管理)」「品出し」「陳列」「POP作成」など、お店の運営全般をにないます。ドラッグストア勤務は、処方箋薬のみならず、一般用医薬品から多様な生活雑貨品を販売しているため幅広い知識を持つことができるのが特徴です。

調剤薬局と違って医師の処方箋がないOTCの販売もおこなうため、服薬指導では、患者の症状や体質などを確認した上で、適切な商品を選び販売をおこないます。OTCの販売時には「患者の症状に薬が合わなかった」「薬を取り違えてしまった」ということにより、クレームにつながるだけでなく、副作用になることもありえますので、指導時には細心の注意が必要です。

ドラッグストアは店舗によって営業時間は異なりますが、都市部では一般的に10時から22時頃までを営業時間にしているドラッグストアが多く見られます。2交代制を採用している職場もありますが、人が少ないことから通し勤務が常態化しているような職場も稀にあります。基本的には長時間の立ち仕事ですので、体力も要求される仕事だと言えます。

 

●病院薬剤師

病院薬剤師は、基本的な処方せん調剤業務とともに、注射薬、点滴の調整・管理など、外来患者・入院患者に使用する薬品の調剤・薬品管理業務をおこないます。

病棟薬剤師は、入院患者の病態をふまえ「適切に薬が投与されているか」「薬による副作用が発現していないか」などの確認をおこなうこともあります。さらには、必要に応じて看護師・医師への報告・提案もおこないます。

病院薬剤師は、他の医療スタッフとともにチーム医療に携わることができるため「スキルアップできる」「やりがいを得られる」ということで、若手薬剤師には人気の職種でもあります。

ただし、病院薬剤師の給料・年収は調剤薬局、ドラッグストアと比べて一般的に低い職場が多くなります。収入をアップさせたいと考える薬剤師には不向きな職場だと言えます。

 

●診療所の薬剤師

診療所の薬剤師は、病院と同様に医師と近い距離で業務をおこないますが、扱う薬品数が病院よりも少なくなります。診療所の医師の専門分野によって処方薬品は限定されるためです。

業務内容は、医師の処方箋にもとづく調剤、入院設備や訪問看護に対応している場合にはそれに付随する業務があります。医師のパートナーとして、患者の健康や命を支える仕事という意味ではやりがいを感じることもできる職種と言えます。

ただし、このような診療所の多くが一人薬剤師の職場になります。「薬に関する相談相手が居ない」「扱う薬が少ないためにスキルアップできない」「患者数が少なく極端にヒマで困る」「給料が安い」という悩みを持つ薬剤師はいます。

 

●在宅医療の薬剤師

在宅医療の訪問薬剤師は、薬局に通うことができない患者に対して「薬局内で調剤した処方薬を自宅へ配達する」「患者宅で服薬指導や残薬管理、副作用の有無のチェック」などの業務をおこないます。

時には家族や他の医療スタッフとともに、高齢者が自宅で最期の瞬間を迎えるまでの長い期間を患者と関わることがあります。患者やその家族からも「信頼される」「感謝される」ということで大きなやりがいを感じられる仕事です。

薬局内の調剤業務だけに留まらず、これから薬剤師のニーズが増えると言われている「在宅医療」を経験しておくことは、確実にスキルアップにつながるでしょう。

 

●製薬会社の薬剤師

薬剤師には、薬局勤務だけでなく製薬会社で働くという選択肢もあります。製薬会社という組織の中で、薬剤師がになうことが出来る業務は複数あります。「医薬情報担当者(MR)」「開発・研究職」「管理薬剤師」「学術(DI=Drug Information)」「市販後調査」「治験関連職」などが代表的な業務です。

業種・会社(特に外資系)によっては、薬学の専門知識だけでなく、英語力が必要となるケースがあります。製薬企業勤務の薬剤師は、薬局薬剤師よりも一般的に給料・待遇がアップする傾向があります。給料・年収を上げたいという薬剤師は製薬会社への転職を検討するのも一つの方法です。

 

●製薬卸会社の薬剤師

薬品卸業者で働く薬剤師の職種は、主に薬品の品質管理を行う「管理薬剤師」、医師からの質問に対応する「DI業務」、卸セールススタッフ向けの「教育資料の作成」などが挙げられます。

薬剤師が表に立つというよりは、卸セールススタッフを裏方的な立場でサポートするという仕事が特徴的です。卸会社で働くメリットは、同じ社内の人間に対してアドバイス・サポートをする仕事が多いため会社の同僚・先輩・後輩に感謝されることです。

また、薬局での調剤・服薬指導の仕事よりも、対人関係に伴うプレッシャーの程度・頻度が低くなることもメリットの一つと言えるでしょう。

 

●公務員の薬剤師

薬剤師には公務員として働くという選択肢もあります。地方公務員として採用された薬剤師は、公立病院の薬剤師に配属されることがあります。業務内容は、通常の病院薬剤師とさほど大きな違いがありませんが、給料や待遇は、公務員規定に準ずるため、一般薬剤師よりも高待遇になります。

他には、身近なものに保健所勤務があります。保健所薬剤師の代表的な仕事には、薬局、飲食店、クリーニング店、銭湯などの開設許認可に伴う業務・衛生指導があります。他にも、立ち入り検査・鑑査や、麻薬取締業務、食品工場への立ち入り検査、温泉の源泉調査、水道の衛生検査など多岐に渡ります。

通常、公務員は3-4年で人事異動になるため、仕事内容は変わりますが、このような幅広い業務経験ができる点はメリットと言えるでしょう。

 

■まとめ

薬剤師の仕事内容は薬を扱うことが基本業務ですが、職種・雇用形態にはたくさんの選択肢があります。現在では、多くの職場で薬剤師は不足していますので、正社員、パート、派遣と自らの意思で容易に転職することができます。

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