薬剤師が転職したくなる理由と動機って何?
・薬剤師の転職理由って何?
・転職理由① 人間関係
・転職理由② 労働環境
・転職理由③ 給与・年収
・転職理由④ スキルアップ
・転職したくなったときの対応方法
〈目次〉
・薬剤師の転職理由ランキング
・人間関係の悪化
いじめ、嫌がらせ、パワハラがある
マンネリ化
・労働環境が悪い
雰囲気が悪い
職場が忙しい
残業が多い
一人薬剤師
・給与・年収に不満がある
・スキルアップ
研修がない
扱う薬が少ない
・転職したくなったらどうする
同僚、先輩薬剤師に相談する
上司に相談する
転職コンサルタントに相談
・まとめ
薬剤師は、離職率・転職率が高いとよく言われます。女性の割合が多いため、結婚・出産を機に離職・転職が増えるせいもありますが、その他にも薬剤師ならではの転職理由がそこには存在します。
薬剤師が転職を希望する理由にはどのようなものがあるのでしょうか?転職する際の注意点と合わせて解説していきます。
■薬剤師の転職理由ランキング
薬剤師が転職を希望する理由は、さまざまですが、大きく分けると「人間関係の悪化」「職場環境が悪い」「給与・年収が低い」「スキルアップしたい」という4つに集約されるようです。これらの転職の動機となる理由について詳しくみていきましょう。
■人間関係の悪化
薬剤師が働く職場の大半は少人数体制です。同じ顔ぶれの人たちと毎日同じ職場で働くことにより、些細な原因から人間関係が急速に悪化することがあります。薬局における人間関係のトラブルにはどのようなものがあるのでしょうか?
●いじめ、嫌がらせ、パワハラがある
職場の複雑な人間関係にストレスを感じて仕事を辞めるという薬剤師は少なくありません。その中には、いじめ、嫌がらせ、パワハラのような職場内の上下関係に端を発したというケースはよくあります。
薬局内で起こる、上下関係のトラブルには以下のようなものがあります。
・店長や薬局長などの管理職がミスをおかした薬剤師を激しく叱責する。
・上司が気に入らない後輩に対して精神的に追い込むようなパワハラ行為をする。
・正社員がパート・派遣薬剤師に嫌がらせをする。
・古株の事務員が新人薬剤師に厳しくあたる
・病院内で看護師・医療従事スタッフが薬剤師に敵対意識を持って接する。
職場での、いじめ、嫌がらせ、パワハラは社会的にも問題視されていますが、それでも、なかなか改善されない職場があるのも事実です。そんな働きづらい職場に長くいるよりも、人間関係が良好な薬局に転職しようと考える薬剤師は少なくありません。
●マンネリ化
現役の薬剤師から、今の職場には「刺激がない」「飽きた」という声があがることがあります。特に調剤薬局や病院薬局の少人数の職場はマンネリ化に陥りがちです。
調剤薬局の中には、薬剤師、事務職員の常時2~3名体制で仕事をする職場が多くあります。毎日同じ顔触れの人間と仕事をしていると、職場内は活気がなくなり、マンネリ傾向になります。狭い調剤室で一緒に仕事をしていると、尚更そのように感じるものです。
よほど気が合う同僚や先輩がいる職場ならば、マンネリ化していても楽しく仕事ができますが、逆に気が合わない人がいると狭い職場は苦痛でしかありません。
会社に異動を申し出て、それが叶う会社ならば良いですが、異動が難しい職場ならば「転職したくなる」というのは必然の流れと言えます。
■労働環境が悪い
転職理由として「労働環境の悪さ」を挙げる薬剤師は多くいます。労働環境に含まれるものとしては「職場の雰囲気」「多忙な業務内容」「残業の有無」「勤務体制」などが挙げられますが、薬剤師は具体的にどのようなことに対して不満を持って転職を決意するのでしょうか?
●雰囲気が悪い
調剤薬局・ドラッグストアは、少人数の職場が多いため「物理的な職場環境の整備」「風通しのよい人間関係」などの要件は、従業員の働く意欲に大きな影響を与えます。
このような職場の“雰囲気づくり”“働きやすさ”を左右するのが、リーダーである薬局責任者(店長、管理薬剤師など)の資質やキャラクターです。その管理職の人間が「ワンマンで部下の意見に耳を貸さない」「従業員とのコミュニケーションをうまくとらない」という職場は自然と雰囲気が悪くなります。
部下の意見や要望が聞き入れられないため「不満が蓄積する」「仕事にもやる気が出ない」という悪循環が生じます。雰囲気の悪さが改善されないような職場なら、そこで働く薬剤師は別な会社を探そうと考えるようになります。
●職場が忙しい
薬局の中には目が回るように仕事が忙しいという職場があります。その代表的な職場が「総合病院内の薬局・門前薬局」「人気開業医のパートナー薬局」です。
そのような職場は、患者が途切れないため「次から次へとくる処方箋を処理する…」「調剤業務以外の配達や在宅医療業務などに追われる…」など、休憩さえゆっくりとることができない店舗があります。調剤業務は長時間の立ち仕事になるため、人によっては体力的に仕事を続けるのが厳しいというケースもあります。
店舗によっては、少人数体制で多忙な業務にあたるため、患者さんを長時間待たせることが多くなります。それによって「クレーム対応が増える」「十分に服薬指導ができない」ということに、精神的ストレスを感じる薬剤師もいます。
そんな忙しい職場では「仕事のやりがいを見つけられない」という理由から転職を考える薬剤師は少なくありません。
●残業が多い
入社の面接時に面接官から「残業は原則ありません…」と言われて入社を決めたけれど、実際には「残業が多い」「通し勤務がある」というケースがあります。このように「残業の多さ」を理由に転職を検討する薬剤師はいます。
残業には、処方箋枚数が多い職場なのに、あきらかに薬剤師数が不足しているために発生する「慢性的残業」。風邪やインフルエンザなど病気の大流行により、患者が激増したことで発生する「一時的(季節的)残業」があります。
一時的な残業ならば、まだ納得はできますが、「会社が残業を強いる」「上司が業務の合理化に手を打たない」というような、慢性的に残業がある職場で働くのは肉体的にも精神的にも苦しくなります。このように残業が多いことが転職理由になるケースは少なくありません。
●一人薬剤師
調剤薬局・ドラッグストア・個人病院などの職場によっては、薬剤師が自分以外にはいない「一人薬剤師体制」の薬局に配置されることがあります。一見気楽に見える一人薬剤師ですが、勤務形態が自分には合わないので転職したいという人はいます。
調剤薬局を例にとれば、この勤務体制下では、管理薬剤師業務を担うことはもちろんのこと、調剤、鑑査、服薬指導、薬歴記録・管理、医師・患者・医薬品卸業者への対応、事務職員などの勤怠管理など数多くの業務を一人でこなさなければなりません。「休む時間が無いほど忙しい」「責任が重い」という悩みも聞かれます。
一方で病院薬局、調剤薬局の中には「処方箋は1日数枚程度」「毎日ヒマで時間を持て余す」というような極端に仕事量が少ない職場もあります。
このように一人薬剤師という孤独な職場環境が「苦手」「ツライ」ということで転職を希望する薬剤師もいます。
■給与・年収に不満がある
調剤薬局やドラッグストアは、大手のチェーンもあれば個人経営など、様々な経営母体により運営されています。その会社によって、薬剤師の給与・年収などの待遇は異なります。
「同じような内容の仕事なのに、自分が勤務する薬局の給与は低い…」というように給与・年収に不満を感じて転職する人はたくさんいます。
薬剤師にとっては「職場で自分がどのように評価されている」「その評価がどのように給与に反映されるのか」「これから昇給はあるのか」などの、待遇面は高い関心事です。当然ながら、他の薬局の待遇面も気になります。
自分の給料・年収が高いのか?低いのか?は、大学の同級生薬剤師との情報交換だけでなく、今ではインターネットで職種ごとに、薬剤師の平均給料・年収の相場を知ることも可能です。
リサーチした結果「相場よりも給料が少ない」「昇給システムが明確でない」など、勤務先の給料体系に不満を持ち、転職を考えはじめる薬剤師は多いようです。
■スキルアップ
薬剤師をとりまく環境は、医療・調剤報酬の改定とともに日々変化します。新薬も次々と発売されるため、最新の薬種情報を入手することにより「情報のアップデート」や「スキルアップ」が求められます。
しかしながら、職場によっては「研修がない」「勉強会がない」「上司が後輩の指導をおこなわない」という教育を重視しない薬局があるのも事実です。このような職場に不満を持つ薬剤師はいます。特に若手の薬剤師は、スキルアップできない環境は「転職の強い動機づけ」になります。
●研修がない
薬剤師は総じて勉強熱心な人が多く、職場に対しても「成長できる環境」「充実した研修」を期待する人は少なくありません。しかし、下記に示すような理由をあげて、研修や新人スタッフに対する個別指導を実施しない薬局はあります。
• 忙しくて研修はできない
• 研修をおこなうと薬局に人が足りなくなる
• 目の前の患者さんと向き合いながら学ぶべきである
• 先輩を見て自分で学ぶべき
• 勉強は自分で時間を作ってするもの
自分のスキルや知識に自信が持てないことは薬剤師にとっては不安なことです。特に高い志をもった薬剤師は「教育を大切にしない職場」「研修を受けられない職場」では、成長が望めないと考えます。結果的に転職を考える理由になります。
●扱う薬が少ない
薬剤師の仕事は、数多くある薬品の効能効果を理解するとともに、考えられる副作用についての知識を、患者さんにわかりやすく服薬指導することです。国内の医療用医薬品の数は2万件を超えており、新薬も次々に発売されています。薬の知識を増やして整理していくのは大変なことですが、それは同時に、薬剤師にとっての「やりがい」「スキルアップ」につながります。
しかしながら、職場によっては取り扱う品目が少ないために「知識が増えない」「経験値が上がらない」というようにスキルアップできない環境を嘆く、危機感を持つ薬剤師はいます。
例えば「整形外科」「慢性疾患を中心に扱う病院」「皮膚科・眼科の門前薬局」などは、処方される薬品がパターン化される傾向があります。そのため、薬剤師によっては大病院や複数の診療科を抱える門前薬局のような、様々な薬剤を取扱う職場に転職したいと考える薬剤師はいます。
■転職したくなったらどうする
「転職したい!」と考えるようになったときに、転職経験が無い人はどのように手続きを進めていけばいいのか悩むのではないでしょうか。
できれば、今の職場を円満退職してから、新たな職場で再スタートをきりたいものです。転職する際にすべきことを考えてみましょう。
●同僚、先輩薬剤師に相談する
転職したいという考えが固まっていない状態で、会社や上司に意向を伝えるのは賢明とは言えません。「今の職場に不満がある」「転職を検討している」という状態ならば、まずは同僚や先輩薬剤師に打ち明けて相談にのってもらうことです。
同じ職場で働く薬剤師と話しをする、転職経験のある先輩からアドバイスをもらうことにより、有益な情報が得られる可能性があります。先輩・同僚の客観的な意見により「キャリアプランの作り方」が分かる。あるいは「今の職場は恵まれているので辞めないほうが良い」というケースも考えられます。
このようなデリケートな話しは、職場の同僚、先輩なら誰かれ構わず相談するのはよくありません。かならず自分が信頼できる人間にだけ相談しましょう。
●上司に相談する
職場の上司に仕事や転職の悩みを相談するのは難しいものですが「今の職場で働き続ける」あるいは「転職する」かで、気持ちが揺れ動いているならば、思い切って上司に相談してみるのも一つの方法です。
もしも「本音では、今の職場を辞めたくない」ということであれば、上司への相談の仕方はしっかり考えて望む必要があります。上司はあくまで会社側の人間だということを理解して話しをすることです。
必要以上に「職場や会社批判」ばかりするのではなく、今までの仕事に対する取り組み、自分が描くキャリアプラン、職場の改善点、など、ポジティブな姿勢で話しをすることが大切です。薬剤師として「この職場に貢献したい気持ちはある」「頑張ってやっていきたい」という前提で、自分の悩みや思うことを伝えることです。
これによって、上司が「職場環境を改善してくれる」「研修参加の機会を与えてくれる」、あるいは希望する職場へ異動させてくれるか可能性もあります。
●転職コンサルタントに相談する
転職を失敗しないための心強い味方が転職コンサルタントの存在です。薬剤師専門の転職サイトに登録すれば、専任コンサルタントが転職に関する様々な悩みを手厚くサポートしてくれます。
登録の際には、まずは個人情報とともに「雇用形態」「希望業種」「希望転職記事」「その他、相談したいこと」を記入して、サイトに登録します。その後は、転職コンサルタントのアドバイスや提案を受けて、自分の理想に近い転職先を二人三脚で探していく流れになります。
薬局専門の転職コンサルタントを利用するメリットは、薬局業界についての情報量の多さ、転職までの効率の良さが挙げられます。現在の仕事を続けながら、慎重に転職先を見つけたい人にはおすすめの方法です。
■まとめ
薬剤師は全国的に需要が多いため売り手市場です。そのため、転職先探しに苦労することは少ない職種と言えます。だからと言って、自分の感情の赴くままに今の職場を辞めて転職先を探すというのでは、面接の際にも苦労しますし、良い転職先が見つからないこともあります。
どんな目的で転職するのか、どんな職場で働きたいのかという、しっかり目標設定をおこなった上で、自分の市場価値を見極めながら、慎重に行動することが大切です。
もしも「転職」というキーワードが頭の中に閃いたら、転職コンサルタントと話しをしてみるのは良い方法です。薬局業界に精通した転職サイト薬スタに相談しませんか。登録・御相談は無料です。専任コンサルタントが親切・丁寧にサポートします。
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