高時給で働きやすい!? 派遣薬剤師のメリットとデメリット
薬剤師は、場所、時間にとらわれずに柔軟に働くことが可能な仕事です。転職の受け皿となる職場(調剤薬局、ドラッグストア、病院)の数は多く、人手不足で困っている職場は全国にたくさんあるためです。
短期の求人も多いため、自分の生活スタイルに合わせて「6ヶ月間だけ働きたい」「1日3時間だけ働きたい」というニーズを叶えることができます。そんな短期の仕事でオススメの雇用形態が“派遣”です。派遣は、パート・アルバイトよりも時給は高く、一つの職場にしばられることなく仕事をすることができます。
ここでは、派遣薬剤師とはどのような雇用形態で、メリット・デメリットは何があるのか?について徹底解説します。
・派遣の仕事と仕組み
・派遣薬剤師の時給が高い理由
・派遣で働くメリット(時給、時間、残業なし)
・派遣にも有給、社会保険はある
・派遣で働くデメリット(雇用期間が短い、人間関係)
・どんな人が派遣の雇用形態に向いているのか
・派遣会社の選び方
<目次>
・そもそも派遣薬剤師とは?正社員と何が違うの?
・ 派遣薬剤師として働くメリットは?
パート・アルバイトよりも高時給
ライフスタイルに合わせた働き方ができる
残業はなし?サービス残業はしなくて良い?
様々な職場を経験することでスキルアップできる
有給がある
社会保険に加入できる
職場環境が合わなければ変えることができる
紹介予定派遣として働けば正社員になることができる
・派遣薬剤師のデメリットは?
一つの職場の雇用期間が短い
人間関係をまた最初から構築しなくてはならない
ボーナスが無い
・派遣薬剤師はどんな人に向いているの?
・派遣会社を選ぶポイントは?
薬局業界に詳しい?希望に合う求人を紹介してくれるか
福利厚生は充実しているか
フォロー体制は整っているか
・派遣で働くなら薬スタへ
■そもそも派遣薬剤師とは?正社員と何が違うの?
派遣とは、1986年に施行された「労働者派遣法」をもとにした比較的新しい働き方の一つです。(その後、労働者保護のために改正がおこなわれています)正社員やパート・アルバイトは企業と雇用関係を結んで就業規則に則って働きますが、派遣社員は派遣会社と交わした契約内容にもとづいて、派遣先に労働力を提供するというのがその仕組みです。
派遣薬剤師の場合は、派遣会社、派遣先(薬局)との関係は以下の図のようになります。
派遣会社は「求人募集」「教育」「社会保険・福利厚生の加入」「労務管理」「給与の支払い」などの手続き一切をおこないます。そのため、薬局にとっては人材獲得にかかるコストが必要なくなり、労務管理の手間も省けます。人手不足の一定期間だけ薬剤師を雇用することができます。このように薬局にとって派遣は利用価値が高い雇用形態と言えます。
また、派遣社員にとっては「短期間で働ける」「職場を選べる」「働く時間を選べる」という働き方におけるメリットがあります。パートと比較して「時給が高い」というのも大きな利点です。派遣会社においても派遣薬剤師が派遣先の薬局に勤務している間は手数料が入り続けます。
このように、派遣という仕組みは「短期で働きたい薬剤師」「人手がほしい薬局」「薬剤師を派遣する会社」
の3者が得する「3方良しの仕組み」ということが言えます。
【派遣は3方良しの仕組み】
●派遣社員:短期勤務が可能、職場を選べる、高時給
●派遣先(薬局):人手が必要な時期に短期の雇入れが可能、労務管理の手間が少ない
●派遣会社:派遣契約が続く間は手数料が入る
■派遣薬剤師として働くメリットは?
ここからは派遣薬剤師として働くメリットを詳しく見ていきましょう。
●パート・アルバイトよりも高時給
薬剤師の時給は,パート・アルバイトよりも派遣のほうが高時給です。その理由は、派遣の仕事は派遣先(薬局)の都合によって契約期間が決まるため安定しない雇用形態だからです。派遣先の薬局が契約延長しなければ、その職場での仕事は終了になります。
契約終了後に新しい職場がすぐに決まれば良いですが、見つかるまでに時間がかかるケースはあります。このように雇用が不安定ため、その分が時給の高さに反映されると言えます。
それと、派遣の求人は「今すぐ働き手が欲しい」という緊急性が高い案件が多いため、時給を高く設定しないと薬剤師を確保できないというのも理由の一つとしてあげられます。
【派遣の時給はなぜ高いのか】
●短期間の勤務が多く、不安定な雇用形態のため
●即戦力の人材を募集するため
●派遣会社が派遣先の薬局に時給交渉をするため高くなる
●仕事が忙しい職場が多いため
薬剤師の時給は、職場、地域、時期などの条件によって違いがでますが、一般的にパート・アルバイトの時給は約2,000円~2,200円で、派遣は約2,700円~3,000円の求人が多く見られます。
その時給差は500円~1,000円ほど違いがでます。仮に毎日5時間勤務で20日間働いた場合には、ひと月に50,000~100,000円もの給料の差が出ることになります。派遣はパートよりも給与面で大きく優遇されているということが分かります。
●ライフスタイルに合わせた働き方ができる
現代は、働く時間や場所を自分で選択できる多様な就業形態が少しずつ広がっていますが、派遣薬剤師なら、そのような柔軟な働き方が可能になります。
例えば「子どものお迎えがあるので15時には帰りたい」「毎日は体力的にキツイので、週3日だけ働きたい」などの、希望条件を派遣会社に伝えておけば、派遣会社はその条件に近い職場を紹介してくれます。
働き方においても派遣会社と取り交わした契約内容が基本的に遵守されるため、本人が望まない「残業」をするケースはさほど多くないでしょう。
ならば、パートやアルバイトだって「ライフスタイルに合わせた働き方ができるではないか…」と思われがちですが、パートは企業との直接雇用契約になります。実際には、薬局からの依頼に応じて出勤日や勤務時間を決めるというケースは少なくありません。
このように派遣の仕事は、派遣会社と取り交わした雇用契約(就業条件)により、ワークライフバランスを重視した働き方が可能になるのです。
●残業はなし?サービス残業はしなくて良い?
ただし派遣の仕事は「残業ゼロ」とは必ずしも言い切れません。派遣先には忙しい職場もありますので、契約の範囲内で残業をするケースは出てくるでしょう。そこで覚えておきたいのが36協定(サブロク協定)です。
派遣会社と派遣社員との間に結ぶ「時間外・休日労働に関する協定」の書類です。(36協定とは、労働基準法36条をもとに作られた協定のためこのように呼ばれます)
派遣先に残業を求められるケースがあっても、36協定に書かれてある残業時間を超えた労働をさせるのはNGです。ですので、派遣先の職場に頻繁に残業の要請を受けているという場合には、この協定書を確認する必要があります。
サービス残業については当然ながら断ることはできます。ただし、「今日中にやらなければならない」「自分の失敗による仕事の遅れ」などについては、職場の都合に合わせて柔軟に対応することも必要です。もちろん、残業した分は派遣会社に残業代を請求できます。
●様々な職場を経験することでスキルアップできる
派遣薬剤師は同じ職場で最長3年間働くことができますが、一般的には6ヶ月から1年ほどで職場を変わります。そこで新たな職場を選ぶ際には、「大手ドラッグストア」「調剤薬局チェーン」「個人経営薬局」など、本人の希望次第で薬局の種類を選ぶことは可能です。
薬局ごとに業務の方針や仕事の進め方は変わりますし、取り扱う薬も違います。さまざまな職場を経験することで薬剤師としての知識や経験値はアップします。さらには、それぞれの職場で出会った人たちとの新たな人間関係の発展も期待できるでしょう。
薬剤師の中には、一つの職場で何年も同じメンバーで働いているという方は少なくありません。「刺激が少ない」「人間関係がきつい」という悩みを持つ薬剤師は少なくありません。
派遣という柔軟な働き方を選ぶことでさまざまな職場を経験できてスキルアップが可能になります。
●有給がある
「派遣の仕事には正社員のように有給は無い…」とお考えの方いるようですが、それは違います。派遣も一定の要件をクリアすれば派遣会社から有給が支給されます。仕事を休んでも給与は支払われます。
【有給取得の条件】
●同じ派遣会社で6ヶ月以上勤務
●労働日の8割以上出勤すれば10日間の有給が取得できる。(以降は勤続年数により加算)
●1週間の労働時間が30時間未満、4日以下の短時間でも、その基準に応じて比例付与により支給される。
●社会保険に加入できる
派遣の雇用形態でも一定の勤務条件を満たせば社会保険に加入することができます。社会保険とは「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労災保険」「介護保険」の5つの公的保険の総称です。ご本人や家族の生活を守るための公的保険ですので、保険の内容や派遣でも加入できる条件など覚えておきましょう。
【社会保険とは5つの公的保険】
●健康保険:業務外の病気、ケガ、出産時の保険。被保険者の家族も使用できる。
●厚生年金保険:65歳以上に支払われる老齢年金、障害者に支払われる障害年金、加入者が死死亡した際に遺族に支払われる遺族年金がある。
●雇用保険:退職後の生活保障の保険
●労災保険:仕事中や通勤時のケガや病気に対しての保険
●介護保険:老齢による病気に対する福祉
派遣社員は下記の条件を満たせば、それぞれの公的保険に加入することができます。
【派遣の社会保険加入要件】
●健康保険、厚生年金、介護保険
①雇用期間:雇用期間が2ヶ月以上の契約であれば、契約した初日から社会保険に加入
②労働日数・労働時間:派遣元の1ヶ月の所定労働日数の3/4以上及び、1週間の所定労働時間の3/4以上を超えると加入
平成28年10月から、週30時間以上働く方に加え、従業員501人以上の会社で週20時間以上働く方などにも厚生年金保険・健康保険(社会保険)の加入対象が広がりました。さらに、平成29年4月からは、従業員500人以下の会社で働く方も、労使で合意すれば社会保険に加入できるようになり、より多くの方が、これまでより厚い保障を受けることができます。
【参考】:平成28年10月から社会保険の適用拡大 | 厚生労働省
●雇用保険:週に20時間以上勤務、31日以上の勤務見込みがある
●労災保険:派遣先で就業開始時から適用
●職場環境が合わなければ変えることができる
派遣先に「どうしてもなじめない」「スキルアップできる環境ではない」などの理由から、できるだけ早くその職場を辞めたいというケースがあります。そんなときには、派遣会社に次回は契約更新しないことを伝えておけば、更新のタイミングで終了することができます。
更新前に派遣会社に伝えておけば、現在働いている薬局を辞める前に新たな派遣先の薬局を紹介してくれます。契約終了後には、間を置かずに、すぐに新しい職場で働くことが可能です。
●紹介予定派遣として働けば正社員になることができる
紹介予定派遣という制度を使えば派遣から正社員になれる可能性があります。派遣期間中に、「正社員になりたい」という希望を出します。そこで、派遣先の会社が働きを認めてくれて「社員として働いて欲しい」となれば、双方の合意により正社員になることができるという制度です。
事前に紹介予定派遣の労働契約を交わしておくか、あるいは派遣として働いている期間中に紹介予定派遣に切り替えることも可能です。派遣として仕事に従事すれば、その会社の雰囲気や仕事内容についてある程度理解できます。会社について何も知らないまま正社員として職場に飛び込むケースと違ってミスマッチが発生する可能性は少なくなります。
派遣先の会社にとっても、その人の「薬剤師としての能力」「人間性」などを見極めた上で、正社員として雇用するかどうかを判断できます。紹介予定派遣は、働く側も雇う側どちらにとってもメリットが多い仕組みです。
■派遣薬剤師のデメリットは?
高時給でライフスタイルに合った働き方ができるなど、メリットの多い派遣薬剤師ですが、デメリットは無いのでしょうか。以下でご紹介します。
●一つの職場の雇用期間が短い
派遣の契約期間には、30日以内勤務の「単発・スポット派遣」、31日以上~3年未満勤務の「一般派遣」がありますが、実際に派遣の求人で多いのは、「欠員補充のための短期雇用」「新規オープンのための単発雇用」など、短期間の案件です。
ようやく仕事や環境に慣れてきた時に契約終了となるケースが多くなります。終了後は別な職場に移って、仕事を覚えていかなくてはならないため生活は慌ただしくなります。
●人間関係をまた最初から構築しなくてはならない
薬剤師の仕事の悩みで多く聞かれるのが人間関係です。小さい薬局の中でチームワークで仕事することが多いため、職場の雰囲気が悪化すると、働くうえで大きな苦痛になることがあります。そのため、派遣は短期間の勤務とは言え、職場の人間関係にはことさら気を使う必要がでてきます。
せっかく職場で良好な人間関係を築くことができても契約が終了になるとそれまでです。新たな職場で一からコミュニケーションを築いていかなくてはなりません。これは職場だけでなく患者さんとの関係も同様です。
薬剤師の仕事は患者さんの悩みや症状を改善して健康を支えるのが本質です。短期の仕事では、患者さんと長期的に向き合うことができないため、やりがいを見つけるのが難しくなることがあります。
●ボーナスが無い
派遣薬剤師には派遣会社からボーナスは原則支給されません。正社員の場合には、企業(薬局)との直接雇用契約ですので、その企業の業績が良ければ夏・冬年に2回ボーナスが支給されるケースが大半です。
しかし、派遣は契約先が派遣会社になります。派遣会社の業績がいくら良くても派遣にボーナスを支払う会社はほとんど無いのが現状です。ボーナスのような大きな金額は出ないものの、報奨金のようなかたちで寸志として支給されるケースもありますので、これら支給の有無については派遣会社のコンサルタントに確認してみましょう。
■派遣薬剤師はどんな人に向いているの?
ここまで派遣薬剤師として働くメリット・デメリットをみてきましたが、実際に「派遣の仕事」はどんな人に向いているのでしょうか。以下に例を挙げてみました。
●子育てと仕事を両立したい、プライベートを充実させたい人
●短期間にお金を稼ぎたい人
●自分の実力や能力を試したい、スキルアップをしたい人
●多くの職場を経験して、人脈を増やしたい人、知見を広めたい人
●新しい職場に抵抗なく溶け込むことができる人
など
■派遣会社を選ぶポイントは?
派遣薬剤師として働くと決めたなら、できるだけ自分が考える条件に合った職場を紹介してくれる派遣会社を探したいものです。信頼できる派遣会社を選ぶポイントは以下のようになります。
●薬局業界に詳しい?希望に合う求人を紹介してくれるか
派遣会社を選ぶ際に何よりも重要なのは、自分の条件に合う求人を迅速に紹介してくれることです。そのためには、派遣の求人件数を数多く保有しているとともに、派遣先の内情に詳しい派遣会社を選ぶことが大切です。
時給や勤務場所などの希望の条件に合う求人だけでなく、その人のキャリアや個性に最適な職場を紹介してくれる派遣会社に相談したいものです。そう考えると、やはり薬局業界に詳しい派遣会社がおすすめです。
【薬局業界や薬剤師の仕事に詳しいか】
●薬剤師専門の派遣会社か?
●薬局業界に精通したコンサルタントがいるか?
●薬局業界で長く活躍している会社か?
●細かな相談にも親身に対応してくれるか?
●福利厚生は充実しているか
福利厚生とは、企業が従業員とその家族に対して給料以外に提供する制度です。交通費、社宅、教育、保養所、健康診断などがあげられます。福利厚生は、それぞれの派遣会社によって提供内容は違いますのでコンサルタントに確認してみましょう。
●フォロー体制は整っているか
派遣会社のフォロー体制が整っているかは派遣で働くうえで非常に重要になります。派遣は、派遣会社との雇用契約になりますが、実際に仕事をする場所は派遣先の薬局です。実際に働いてみたら、「サービス残業がある」「休む暇がないほど忙しい」というように、想定外の職場だったというケースがあります。
そんなときに、派遣会社のサポート力が問われます。職場に直接言えないことであっても「派遣会社が代弁してくれるのか」「定期的に連絡をくれるのか」など、派遣会社が積極的にフォローしてくれるかどうかは重要になります。派遣会社に登録後は、どのようなサポート体制になっているのか確認しましょう。
■派遣で働くなら薬スタへ
派遣薬剤師の仕組みに始まり、働くメリット・デメリットなどご説明してきました。今まで「派遣で働く」という選択肢が無かった方も、その魅力がお分かりいただけましたでしょうか。
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