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信頼関係を築くためのコミュニケーション術【前編】

薬剤師としての役割は、単に薬を調剤することにとどまらず、患者との信頼関係を築き、効果的な服薬指導や健康相談を行うことにあります。良好な信頼関係が築けていれば、患者は自身の症状や服薬について積極的に話してくれ、より良い治療が行えるようになります。

しかし、患者との接点が限られている薬剤師にとって信頼関係を築くのは簡単なことではなく、一度の対話で心をつかむことが重要です。

今回は、大手調剤薬局で薬局長を約3年経験、応援先として30店舗以上訪問し「このまま店舗の人になってほしい」と言われるような関係を構築してきた私が、人との信頼関係を築くためのコミュニケーション術をいくつか紹介していきます。当たり前に感じることも多くあるかと思いますが、改めて意識することでガラリと関係が変わります。

また、患者に限らず同僚や上司・取引先との良好な関係を構築する際にも有効ですので是非ご活用ください。

ではさっそく見ていきましょう。

1.聴く力を高める

信頼関係の第一歩は、相手の話に耳を傾けることです。多くの患者が薬剤師に求めているのは「アドバイス」だけでなく、「自分の話をきちんと聴いてくれること」です。聴く力を高めるためには以下のポイントに注意します。

・積極的な聴き方:患者が話している時に頷きながら聴く、相槌を打つなど、聴いている姿勢を相手にわかるように示すことが大切です。

・質問を活用する:患者の話を深掘りするために、適切な質問をすることが信頼関係を築くために有効です。例えば、「それはどのような時に感じますか?」や「その症状についてもう少し教えてください」など。

・非言語的なサインに注意:言葉だけでなく、患者の体調や表情、声のトーンにも注意を払いましょう。非言語的なサインは、患者の本当の気持ちを理解する手がかりになります。

2.共感を示す

患者が感じている不安や痛み、悩みに対して共感を示すことは、信頼を深めるために非常に効果的です。患者は、自分の気持ちに理解を示してもらうことで、安心感を得ることができます。

・共感的な言葉を使う:「それは辛いですね」「気持ちはわかります」など、患者が感じていることに共感する言葉を掛けると、心の距離が縮まります。

・感情を否定しない:患者の不安や心配を軽視せず、その感情を受け入れる姿勢が重要です。患者の気持ちを理解し尊重することが信頼関係を築く基本です。

 

3.分かりやすい言葉で説明する

薬剤師として、薬の使い方や副作用、服薬指導は重要な役割ですが、専門的な医療用語を多用すると患者は理解できず、不安を感じることがあります。患者の理解度に合わせた言葉選びも信頼を深める鍵です。

・簡潔で具体的な言葉を選ぶ:専門用語を避け、患者が日常的に理解しやすい言葉で説明します。例えば、「副作用として傾眠があります」と言う代わりに、「薬を飲んだ後は少し眠くなる人もいるので、ご注意ください」と具体的に伝えることが効果的です。

・ビジュアルを活用する:図や資料を使って視覚的に説明すると、理解を助けやすくなります。特に高齢者に対しては効果的です。

 

まとめ

信頼関係を築くためのコミュニケーション術【前編】では、信頼関係の基盤となる「聴く力」「共感」「分かりやすい説明」といった重要なポイントを紹介しました。患者が安心して相談できる環境を整えるためには、まずその心に寄り添うことが大切です。患者との対話を通じて信頼を築くことで、より良い治療が提供できるようになります。

後編でも実践的なコミュニケーション術を紹介していきますので後編もお楽しみにしていてください。