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【薬剤師にお役立ち!コミュニケーション編_その9/接客時の観察ポイント】

今回で【薬剤師にお役立ち!コミュニケーション編】の最終回です。繰り返しお伝えしてきましたが、薬剤師が患者さんに好印象を持ってもらえる接客のコツは、臨機応変にあらゆる患者さんに対応することです。
日々の接客時、対する人の状況が分かる観察ポイントの一つに『言語情報』が挙げられます。
「人の行動が他人にどのような影響を及ぼすのか」を心理学研究したメラビアンの法則では、視覚情報(Visual)…55%、聴覚情報(Vocal)…38%、言語情報(Verbal)…7%とあり、一番影響力が少ないとされています。
けれども、視覚情報(視線・しぐさ)、聴覚情報(話し方)よりも、言語情報(言葉)が優れている点があります。それは、共通のコミュニケーションツールとして、具体的に意思や事柄を伝え合えるといった、相互に働きかけが可能であることです。
概念的な視線・しぐさ・話し方よりも、具体的な言語(ことば)を介することによって、対する人と共感しあったり、相手の心を動かしたり、共に行動するといった働きかけが円滑にできます。
今回は、この優れたコミュニケーションツールである特性に注目し、薬剤師の言葉がいかに患者さんに観察され、どのように受け取られる可能性があるのかを踏まえ、どのようにすれば、好印象を持たれるかをお伝えします。

 

■患者さんに好印象を持ってもらえる接客のコツ8_言語情報(言葉)

患者さんは身体も心も不調な状態ですから、平常よりも敏感になっていると考えられます。
よって、患者さんから接客時の言葉や言葉づかいもよく観察されており、時にはこちらが思うよりも深刻に受け取られる可能性があるため、薬剤師は注意を払う必要があります。
服薬指導において、「用法容量を守って、きっちりお薬を飲んでください」ともちろん正確にお伝えすべきなのですが、紋切り型でお伝えしても、相手にとても冷たい印象を与えてしまいかねません。場合によっては、「今の辛い自分の気持ちを全く分かってくれない薬剤師だ」と思われてしまうかもしれません。
そこで、お勧めしたいのが「クッション言葉」の使用です。「クッション言葉」とは「相手に柔らかく物事を伝えるための言葉のこと」とされています。
例えば、服薬指導時、次のようにクッション言葉を使ってお伝えしてみたらどうでしょう。
「こちらのお薬、沢山種類があって大変かもしれませんが、用法容量を守って飲んでください。
でも、説明指示どおりに飲んでみて、やっぱり辛いなと思ったら、お医者さんでも私たち薬剤師でもよいのでご相談くださいね」
こちらの方が患者さんの気持ちに寄り添ってくれているという好印象を持ってもらえるため、素直に聞いてもらえて、服薬指導にもご納得いただきやすくなります。

 

●好印象を与える薬剤師の言葉づかい(対処法)

患者さんに接する際、丁寧語や敬語を正しく使用するのは大前提となります。そして、さらに他人に嫌がられる言葉づかいをできるだけしないよう、心を配る必要があります。
他人に嫌がられる言葉づかいの一例として、いわゆるD言葉-だ行ではじまる言葉、「だって」「だったら」「だけど」「ですから」「でも」「どうして」「どうせ」といった、相手に対して否定的な意味合いに取られがちな言葉を多用することが挙げられますが、できるだけ使わないようにしましょう。
こういった心がけで、相手に抵抗感を与えず、お話を聞いてもらいやすくすることができます。

 

●好印象を与える薬剤師のコミュニケーション(まとめ)

結論として、臨機応変にあらゆる患者さんに対応するには、患者さんの気持ちにできる限り寄り添って接客することが大切です。そのためには、患者さんから接客時に表立って分かる情報(視線・しぐさ・話し方・ことば)を観察し、気持ちを洞察し、さらに寄り添うための有効なコミュニケーションツールとして、情報(視線・しぐさ・話し方・ことば)を発信し、利用する工夫が必要となります。
けれども、まずは「各々の患者さんの気持ちに寄り添おう」という、この心がけひとつで、日々の接客は目に見えて変わってくるかと思います。患者さんにも必ず気持ちは伝わり、「好印象を与えられる薬剤師」となれるでしょう。