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【薬剤師にお役立ち!コミュニケーション編_その8/接客時の観察ポイント】

患者さんに好印象を持ってもらえる接客のコツは、臨機応変にあらゆる患者さんに対応することです。それぞれの患者さんが置かれている状況を把握するため、日々のコミュニケーションで分かりやすい観察ポイントの一つに『聴覚情報』が挙げられます。
社会心理学では『メラビアンの法則』という研究があり、「話し手が聞き手に与える影響は『視覚情報』『聴覚情報』『言語情報』の3つで構成される。各情報の影響力は、視覚情報(Visual)…55%、聴覚情報(Vocal)…38%、言語情報(Verbal)…7%である」と理論づけています。この知識を応用して、たとえ短い接客時間でも患者さんの状況を把握しやすい、二番目に影響力を持つ聴覚情報の観察ポイント(話し方)と対処法をお伝えします。

 

■患者さんに好印象を持ってもらえる接客のコツ7_聴覚情報

 

●接客時、患者さんの話し方にも注目しましょう(観察ポイント)

接客時の表情や視線の動き、しぐさを見ていても、「本心ではどう思っているのかな?」と今ひとつ患者さんの状況が分かりづらいこともあります。そんな時は、患者さんの話し方にも注目しましょう。
話し方とは「話のしかた、話す態度」を意味しており、普段からの患者さんの性格やその時の気持ちが大きく表れやすい観察ポイントといえます。
観察する際には、声の大きさ、話すスピードも含めて、全体的な話す雰囲気として捉えると分かりやすいです。社会心理学において、話し方の観察ポイントは以下の通りです。
①大声で話す ⇒ 「自分の話を聞いてほしい」という主張があり、「自分のことを認めてもらいたい」という願望も強い傾向がある。
②小声で話す ⇒ 自分の話す内容に自信がなく、できれば人と話をしたくない、話をすること自体が苦手である。
③早口で話す ⇒ 外交的な性格である人が多く、積極的に人に関わることを好む。せっかちであるため、結果を先に知りたがる傾向がある。
④ゆっくり話す ⇒ 内向的な性格である人が多く、社交を好まない。ゆっくりと物事に対処したいタイプであり、じっくりと考えてから言葉を発する傾向がある。
例えば、服薬指導時に④ゆっくり話す人だなと感じた場合は、その患者さんのテンポに合わせてお話するとよいでしょう。説明の一区切りで少し間を置いて、患者さんのご様子を確認しながら、「分かりづらいことがあったら、教えて下さいね」と柔らかい雰囲気を心がけて、ご相談しやすい呼びかけをします。患者さんのゆっくりとしたスピードに合わせることで、「じっくりと考える時間を与えてくれる、この薬剤師さんなら分かってもらえそう」という好印象と安心感をもっていただけるでしょう。

 

●好印象を与える薬剤師の話し方(対処法)

接客する側として、患者さんの話を聞くだけでなく、自身の話し方にも一層気を配りましょう。まずは一度、自分の声を録音して聞いてみることをお勧めします。
なぜなら、いつも骨格を通して自分の声を聞いているため、自分で認識している声と、他人が聞こえている声は全く違うからです。
一番自然な声の印象を知ることが重要なので、家族や友人との対話を録音してみると良いでしょう。声の大小・スピード・印象・トーンについて、できれば家族や友人に確認しながら、客観的に捉えてみましょう。その際、声の大きさやスピードをどう変えればもっと良い印象にできるか、アドバイスをもらうと良いでしょう。
そして、実践の一例として、服薬指導の際は「声の高さを少し低めにする」「なるべくゆっくり語尾まではっきり話をする」と良いでしょう。
落ち着いた印象を患者さんに与えることができ、安心さ、冷静さが伝わり、説得力が増すといえるからです。
次回は、言語情報(ことば)の観察ポイントをお伝えしたいと思います。