【薬剤師にお役立ち!コミュニケーション編_その7/接客時の観察ポイント】
患者さんに好印象を持ってもらえる接客のコツは、臨機応変にあらゆる患者さんに対応することです。患者さんそれぞれの状況を把握するため、日々のコミュニケーションで分かりやすい観察ポイントの一つに『しぐさ』が挙げられます。
しぐさとは「①ある物事をするときの動作や表情、②所作」と広辞苑で定義されています。「しぐさ」を観察ポイントとして注目すべき理由は、「本人は無意識でその所作をしている場合が多い」ことにあります。よって、しぐさはその人の心持ちや性格が顕著に表れる観察ポイントであり、心理学でもよく研究されています。その知識を応用して、前回に続き、しぐさの観察ポイントと対処法をお伝えします。
■患者さんに好印象を持ってもらえる接客のコツ6_しぐさ②
●接客時、患者さんのしぐさに注目しましょう(観察ポイント)
接客時、本音が読み取れるしぐさは多々あります。
①手のひらを見せている
相手に対して、親近感を抱いている又は気を許している状態にあると考えられています。
②拳を握っている
相手に対して、何らかの緊張感や不快感を抱いている場合が多いと言われています。
③鼻孔(鼻の穴)が小刻みに動いている
興奮していると考えられます。人は興奮状態に陥ると、呼吸が浅く激しくなり、平静を装っていても、鼻孔が小刻みに動く傾向があります。
④唇を噛む
感情を抑え込んでいる際に出るしぐさと言われています。相手の会話に不満がある場合や、言いたいことを我慢している場合などに出やすい傾向があります。
⑤首を傾げる
会話内容に納得していない、自分の発言に自信がない時に出やすいしぐさといわれています。
⑥貧乏ゆすり、指先で机をたたく
無意識に足を動かす、指先で机をたたくことで、イライラや緊張を落ち着かせる「ストレス回避行動」と言われています。
例えば、服薬指導時に「ちょっと首を傾げているな」と感じた場合は、その患者さんは説明に納得しておらず、何らかの疑問を持っているのかもしれません。
「説明の中で気になる事、ご心配な事はありますか?よろしければお伝えくださいね」と、まずは患者さんに気遣いを見せ、反応を見ましょう。
「この薬剤師さんなら、私の疑問に答えてもらえそうだ」といった気持ちとなり、気になっていることをお伝えいただけるかもしれません。
●気を付けたい薬剤師のしぐさ(対処法)
よくいらっしゃる患者さんのしぐさに注目していると、「この人は気づいていないけれど、そのしぐさは習慣化していて、もう癖になってしまっているのかもしれないな」と気づくことがあるかと思います。
「人に七癖、我が身に八癖」ということわざもあります。「人は癖が多いものだが、とかく他人の癖は目につきやすく、自分の癖には気づかない。だから、自分自身にも他人以上の癖があるかもしれないと心得るべきである」ということを表しています。
例えば、貧乏ゆすりのように、自身にとっては「ストレス回避行動」として有益な場合もあるのですが、他人から見ると大変気になってしまう場合もあります。
自分のしぐさで「癖」になってしまっているものを認識し、例えば「貧乏ゆすり」のように、他人から見て気になるものである場合は、意識して直すように取り組みましょう。
次回は、非言語情報(聴覚)の観察ポイントをお伝えしたいと思います。