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【薬剤師にお役立ち!コミュニケーション編_その6/接客時の観察ポイント】

患者さんに好印象を持ってもらえる接客のコツは、臨機応変にあらゆる患者さんに対応することです。各患者さんの状況を把握するために、日々のコミュニケーションで分かりやすい観察ポイントの一つに『しぐさ』が挙げられます。
しぐさとは「①ある物事をするときの動作や表情、②所作」と広辞苑で定義されています。社会心理学では『メラビアンの法則』という研究があり、「話し手が聞き手に与える影響は『視覚情報』『聴覚情報』『言語情報』の3つで構成されている」としています。
各情報の影響力は、視覚情報(Visual)…55%、聴覚情報(Vocal)…38%、言語情報(Verbal)…7%である」と理論づけています。
しぐさは対面した際の視覚情報に含まれ、その影響力は大変大きいといえます。また、観察ポイントとして注目すべき理由の一つは、「本人は無意識でその所作をしている場合が多い」ことにあります。
皆さんも無意識のうちに、あるしぐさをいつも繰り返していると他人から指摘されたことはありませんか?例えば「貧乏ゆすり」や「頭をかく」など。無意識のうちにあるしぐさを繰り返してしまう原因は、本人も気づいていない心理的要因が影響しているからなのです。よって、その人の心持や性格が顕著に表れる観察ポイントであり、心理学でもよく研究されています。その知識を応用して、しぐさの観察ポイントと対処法をお伝えします。

 

■患者さんに好印象を持ってもらえる接客のコツ5_しぐさ①

 

●接客時、患者さんのしぐさに注目しましょう(観察ポイント)

接客時、本音が読み取れるしぐさは多々あります。
①顎に手をあてる、顎をさする
話の内容に同意、又は感心している場合が多いといわれています。
②会話中に髪の毛を触る
髪の毛を触る行為は「自己親密行動」と呼ばれ、不安や緊張、不満を感じているといった心理に原因があるとされています。自己親密行動とは、心理的安心感を得るために自身の体を触ってしまう行為をいいます。例えば、幼少期、不安になった時、泣き出した時に親や先生、年長者に頭や背中をよしよしとなでてもらうと落ち着いたといった経験があるかと思います。長じて、自分自身で不安を紛らわす、または気持ちを落ち着かせようとしてする行為の一端であると考えられているのです。
③手を後頭部に持っていく
「自己親密行動」の1つとされており、相手を警戒している状況にあると考えられます。
④しきりに耳を触る
2つの異なる心理が原因であるといわれています。
1)相手の話に関心がなく、退屈している 又は 2)緊張や不安を感じている
相手の表情を見て、どちらであるか総合的に判断すると良いでしょう。緊張や不安を感じていると考えられる場合は、この「しきりに耳に触る行為」も自己親密行動の1つといえます。
⑤額に手をあてる
緊張している可能性が高いといえます。人は緊張感が高まると、無意識に思考を司る前頭前野がある額に手をあてて、冷静な思考をしようとする傾向があるといわれています。
例えば接客時に、患者さんがしきりに髪の毛を触るしぐさをされておられるようなら、「不安や緊張を感じておられるかもしれない」と考えられます。
このような場合、まずは「ご不安な事がありましたら、お気軽にご相談くださいね」といった緊張感を和らげる呼びかけを優しくするとよいかと思います。

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●気を付けたい薬剤師のしぐさ(対処法)

接客する側として、患者さんのしぐさに注目するだけでなく、自身のしぐさにも一層気を配りましょう。まずは一度、自分が無意識のうちに、接客時どんなしぐさをしているのかを認識することをお勧めします。
職場の同僚に聞いてみると、思わぬ発見があるかもしれません。
なぜなら、無意識でしているしぐさで自分では全く気づいていないことが多いのですから。
接客時、本音が読み取れるしぐさはまだまだあります。
次回も引き続き、非言語情報(しぐさ)の観察ポイントをお伝えしたいと思います。