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薬剤師にお役立ち!コミュニケーション編_その5/接客時の観察ポイントについて

患者さんに好印象を持ってもらえる接客のコツは、臨機応変にあらゆる患者さんに対応することです。そのためには、さながら名探偵のように、観察力と洞察力を鍛えて、その患者さんが置かれている状況を掴むことがまず第一歩とお伝えしてきました。
では、具体的にはどのように観察したらよいのでしょうか。
後述する社会心理学の知識を利用して、患者さんの状況を掴むのがお勧めです。
日々のコミュニケーションで、「相手が何を求めているのか」と察知できるヒントは言語情報と非言語情報にあります。言語情報とは、相手がよく使う言葉の言い回し、感情を表す言葉など、言葉で表される情報です。非言語情報とは、顔の表情や視線、姿勢、体の動き、しぐさ、呼吸といった言語以外で表される情報です。
社会心理学に、話し手が聞き手に与える影響を実験に基づき数値化した研究「メラビアンの法則」があります。こちらの法則は、「話し手が聞き手に与える影響は『言語情報』『聴覚情報』『視覚情報』の3つに構成される。各情報の影響力は、視覚情報(Visual)…55%、聴覚情報(Vocal)…38%、言語情報(Verbal)…7%である」と理論づけました。要するに、言語情報よりも非言語情報(視覚情報、聴覚情報)の方が聞き手に与える影響が多くを占めているのです。
今回は、たとえ短い接客時間でも患者さんの状況を把握しやすい、非言語情報における視覚情報(視線)の観察ポイントと対処法をお伝えします。

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■患者さんに好印象を持ってもらえる接客のコツ4_視覚情報

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●接客時、患者さんの視線はどこにあるのか?(観察ポイント)


「目は口ほどに物を言う」ということわざにもある通り、目は身体の中で一番正直に気持ちが表れやすい器官です。しかし、「目が合う、合わない」は本来の性格や習慣もあって、対面時に極力目を合わさないようにする方もいらっしゃいます。よって、接客時には無理に目を合わさずとも、患者さんの視線の動きに注目すると良いといえます。目を合わせなくても、患者さんの視線がどこにあるかで、患者さんの状況を掴むヒントが得られます。社会心理学において、視線の観察ポイントは以下の通りです。
①視線を下にそらしたままである ⇒ 気が弱く、相手を怖がっている。
②右か左か視線を逸らす ⇒ 相手を拒否している。あるいは好意を持っていない。
③左右にキョロキョロ目を動かす ⇒ 落ち着かない。不安感がある。
④まばたきが多い ⇒ 緊張や不安等で、落ち着かない心理状態にある。
⑤大きく目を見開く ⇒ 自分のことをよく理解して欲しいという気持ちの表れです。同時に相手にどう思われているか非常に気になっている。
⑥目を閉じて話す ⇒ 特に男性に多いといわれます。本音が漏れるのを防ぎたい心理と、頭の中で言う事を整理しながら話したいという2つの心理があるとされています。
⑦上目遣いで話す ⇒ 相手に対してへりくだっている。
⑧見下ろして話す ⇒ 相手をリードしようと、主導権を握りたいと考えている。
例えば、③「左右にキョロキョロ目を動かす」が見て取れるようであれば、「ご不安なこと、気になる事はございますか?」とまずは優しくお聞きしてみるといった対応がよいでしょう。その上で、さらに「分かりづらい事があれば、いつでも気にせずお伝えくださいね」といった笑顔での促しをすると、「この薬剤師さんには聞いてみよう」と質問しやすくなり、患者さんの気になる不安を取り除き、信頼を得られやすくなります。

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●好印象を与える薬剤師の視線(対処法)

また、患者さんからも当然観察されているという点をお忘れなく。薬剤師として、接客する側としても視線に気を配りましょう。
コツの一例として「目を合わせるのは3秒まで」とした方が良いでしょう。
目を合わせることは、「あなたに関心があります」というサインとなりますが、初対面で3秒以上目を合わせると、咎められているといった不安感を与えてしまう可能性があります。
その代わりに、無理に視線を合わせようとはせず、顔や体の向きは患者さんの方に向くようにすることで、「あなたのお話を聞いています」というアピールができます。
次回は、非言語情報(しぐさ)の観察ポイントと対処法をお伝えしたいと思います。