【薬剤師にお役立ち!コミュニケーション編_その3】
■患者さんに好印象を持ってもらえる接客のコツ2
●相手に合わせるには、相手の状況を知ることが第一
好印象を持ってもらえる薬剤師に望まれる接客は、患者さんの状況によって違います。このため、「患者さんの状況に合わせて、臨機応変に対応できる薬剤師」が求められているといえます。
では、相手に合わせるにはどうしたら良いのでしょうか。まずは、患者さんがどんな状況なのかを知らなければなりません。しかし、薬剤師として一人の患者さんに接するのは短時間です。短時間で患者さんの状況を知るにはどのようにすれば良いでしょうか?
●名探偵コナンは、なぜ短時間で相手のことが分かるのか
初対面の相手又は短時間接触しただけの相手の状況を推察できる達人と言えば、「名探偵コナン」や「名探偵ホームズ」が挙げられます。アニメや小説の中とはいえ、彼らには「なぜそんなことまで分かるの?」と思うくらいの観察力と洞察力があります。この観察力や洞察力があれば、短時間であっても相手の状況をピタリと推察できるらしい…のです。このため、プロの探偵も「観察力」と「洞察力」を鍛えることに日々精進しているそうです。今回は、観察力を鍛える方法についてご紹介したいと思います。
●観察力で患者さんの状況を把握する
広辞苑では、観察力とは、「物事の真の姿を間違いなく理解しようとよく見る力」と定義されています。同じ状況でも、観察力のある人とない人では、短時間でも「患者さんから見えるもの」は変わります。
例えば、無関心な薬剤師であれば、患者さんの様子に気を配らないために何も気づかず、患者さんの状況はつかめません。また、観察をしていなくても普通に接客していれば、「声が小さい」といった表立ったことには気づけます。
しかし、観察力を鍛えている薬剤師であれば、表情や言葉からだけでなく、腕組みのしぐさや足の向き、視線の向け方といったことからも、患者さんの様子や変化について多くのことに気づけます。
何気ないしぐさやアイコンタクトといった事からも気づきが多いほど、患者さんの状況を知るヒントを得ることができ、患者さんに合わせた接客を考えられます。
例えば、いつもより顔色が良いと気づけたら、「顔色良くなってきましたね、体調も少し良くなってきましたか?」という声かけができ、その患者さんへの気遣いが伝わります。
「この人はどんな状況なのか」と注意深く観察しながら対応すれば、目の前の患者さんに漫然と対応するよりも、接客対応に雲泥の差を生み、与えられる印象も違ってきます。このことから、日ごろから観察力を鍛える重要性を強く自覚するとよいといえます。
●観察力を鍛えるヒント
まずは普段から五感を働かせて、患者さんをよく「見る」「聞く」「感じる」ことで、観察力を鍛えます。その際注意すべきところは、人と接する際に表われる情報は言語情報も非言語情報もあると認識し、どちらの情報も見逃さないようにするということです。
言語情報は、相手がよく使う言葉の言い回し、感情を表す言葉など、言葉で表される情報です。薬剤師が患者さんに接する際には、主に耳で聞く情報になるかと思います。具体的には、「声のトーンが低い/高い」「言い回しがネガティブ/ポジティブ」、または全体的に感じた声の調子やリズム、テンポ、大きさといった印象からも多くの情報が得られます。
非言語情報は、顔の表情や視線、姿勢、体の動き、しぐさ、呼吸といった言語以外で表される情報です。具体的には、「表情が暗い/明るい」「視線が落ち気味/上向き」「呼吸が深く遅い/呼吸が浅く早い」「背中を丸めている/背筋が伸びて、胸を張っている」といった事まで注意を払うと気づけることは格段に多くなります。次回、引き続き患者さんに好印象を持ってもらうコツをお伝えします。