【薬剤師にお役立ち!コミュニケーション編_その4】
■患者さんに好印象を持ってもらえる接客のコツ3
●洞察力で患者さんの気持ちを推察する
広辞苑では、洞察力とは「よく見通す力。見抜く力」と定義されています。分かりやすく言えば、「表に現れたものを手がかりに、その根底にある目に見えない事を推察する力」といえます。
短時間であっても、優れた観察力があれば、患者さんの様子や変化に多々気づけます。その後、これらの気づいたことを手がかりとして、患者さんの気持ちを推察する力こそが洞察力なのです。
●観察力と洞察力を組み合わせ、患者さんそれぞれに対応する
例えば、服薬指導時に「顔色がいつもより悪い」「腕組みをずっとしている」といった表情やしぐさに気づく観察力と、これらの気づきを手がかりとして「今日は調子が悪いのかな」「説明に納得していないのかも」と推察する洞察力を持って、「今日はあまり体調よろしくないですか?」という気遣いやもっと平易な言葉に言い換えるといった対応を行うことで、患者さんの状況に合わせた接客ができます。
このように、「気づく力(観察力)」と「本質を見抜く力(洞察力)」を組み合わせて、適切な対応力を発揮してこそ、「患者さんの状況に合わせて、臨機応変に対応できる薬剤師」となれるのです。
日々観察力と洞察力を鍛えて、適切な接客対応が行えるようになることが患者さんに好印象を持ってもらえるコツといえます。
●洞察力を鍛えるヒント
「気づいた物事に対して、なぜ?を考えること」を日々実践するのが一番鍛えられるかと思います。
「なぜ?」という問いが「目に見える観察力の世界」から「目に見えない洞察力の世界」へと導いてくれるからです。
例えば、以下のように日々の実践として、段階を分けて考えてみましょう。
STEP1:物事に気づく(観察力)(例:服薬指導時)
①患者さんのうなずきが曖昧
②視線が泳いでいる
STEP2:「なぜ?」を考える(洞察力)
①なぜうなずきが曖昧なのか?
②なぜ視線が泳いでいるのか?
STEP3:「どうしてそうなっているのか?」を考える(洞察力)
①うなずきが曖昧な場合、説明について理解ができていないケースが多い。
②視線が泳いでいる場合、他に気がかりなことがあるケースが多い。
STEP4:さらに「なぜ?」を考える
①なぜ説明が理解できていないのか?
②なぜ他に気がかりな事があるのか?
STEP5:「どうなっているのか?」を考える(洞察力)
①この患者さんは初来局だから、薬局自体にもなれておらず、聞きなれない言葉が多いのではないか。
②患者さん自身の事情等でもっと気がかりな事があって、他に聞きたい事があるのではないか。
STEP6:患者さんに相応しい対応を取る
①平易な言葉に言い換えて説明する。「分かりづらい言葉があったらお伝えください」とさらに声をかける。
②「気がかりになっている事や、他にお聞きになりたい事はありませんか?」といったお声かけする。
このように、日頃から「なぜ?」を考えることを行うことで、洞察力が少しずつ磨かれていきます。
すぐには名探偵にかなわないですが、徐々に洞察力が身につき、短時間で患者さんの気持ちを推察して臨機応変に対応できるようになります。
まずは日々実践で、少しずつ、患者さんに好印象を持ってもらえる接客に近づけるように心がけましょう。